個品毎のRFID装着/個品追跡管理システムの国際動向

 本レポートでは、個品単位のRFID装着のこれまでの発展経過、産業レベルの影響、業者側の促進要因、障害要因、成長予測を検証する。

 個品単位の無線ICタグ(RFID)は、複数の製品を混載・梱包したマルチパックや運搬用コンテナの場合と異なり、薬品、種、塗料や飲み物などのように、サイズが小さく、日用消費財などように大量に消費される商品を個品ごとに付加情報を識別する用途で用いられる。人間、動物、車両等はこの範疇には入らない。個品単位のRFIDに求められる共通の要件として、安価、薄い形状、廃棄可能性、堅牢性、摩擦や電磁障害に対する耐性などがあげられている。

 世界各国において、個品単位のRFIDに関する実証実験の動きが活発化している。また、国際宅配便企業のDHL、デルタ航空などでも個品単位のRFID装着に関するプロジェクトを開始している。

 個品単位のRFIDは、対象範囲が広く、大きなポテンシャルを持っているが、価格とパフォーマンスの両立、スマートラベル製造、インフラ構築、使用周波数帯、関係者および業界レベルでの合意形成など、まだ多くの課題を残している。しかし、パレットやケース単位でのRFID装着とのアプローチの違い、個品単位のRFIDにおける特性(装着する商品の寿命、安全性、複数のバリューチェーンでの共有処理)を活かして、先行した試みが見られ、かつその多くの試みが成功裡に進んでいる。

 既にIDTechEx社のナレッジ・データベースに収録された1300社以上にのぼる世界中の事例の中には、実証実験、成功事例に関する分析が収録されている。





向う5年間の予測、2020年までの予測


 スーパーの商品すべてにタグが装着されるのはまだ遠い先の話であり、おそらく2020年まではこうした水準に達しない。
 しかし、個品単位の以外のRFIDに比して、はるかに大きな成長可能性と多様な発展可能性を秘めている。そうした意味で、個品単位のRFID、RFIDによる個品管理システムはRFIDの最高峰といって過言ではない。

 今後、電子的な所有者認証のほか、家庭からオフィス、工場、防犯、美術館の資産管理など、多様な用途が考えられるであろう。 個品ごとのRFID装着は多くの可能性を秘めているが、パレット/ケース単位のRFID装着との環境や背景の違いを踏まえた上で理解することが重要である。

 現在までのところ、パレットやケースのRFID装着のほうが、合意形成が得られやすいこと、なかば義務付けられる場合もあることから、向こう5年間は、売上としては個品単位向けのタグよりも多い。しかし、パレットやケースに装着されるRFIDやスマートラベルはより、サイズも大きく、組み込まれる機能も多く、より高価である。したがって、量的、コスト的な要因が働き、今日のバーコードの普及度にまでいっきょに到達することはないと思われる。

 一方、個品ごとのRFID装着の場合は、コスト面や販売機会の維持・拡大という要求に合致しており、日用消費財のサプライチェーンでの位置づけが明確化し、個品管理システムとして確立すれば、パレットやケースのRFID装着より個品ごとのRFID装着のほうが市場に対する影響や整備という面では効果的であるというのが大方の見方である。




当面の課題


 個品単位の無線ICタグ(RFID)の採用・普及をはばむ主な障害は、小売業者、製造業者双方に多大な投資を必要とすることである。

 また、小売業者の側においては収集データなどの管理運用環境(インフラ)の整備、製造業者側においては個別の製品にRFIDタグを刻印するための製造ラインの調整などが当面の課題となるであろう。

 
※ なお、具体的な実証実験等の事例、今後の販売予測の数値、無線ICタグの見本等については、原文および掲載の表、図、画像を参照願いたい。